6/2/2021_自殺をしなかった理由のようなもの #4

前回は、「また、高校に入って友人から「PCの恋愛ノベルゲーム」の道を教えられたことは、わたしの非社会性を後押しした。次回はそのあたりの話を書いてみようと思う。ということで、きょうはここまで」といった文章で終わっていた。けれど、眠りにつく前の、いまこれを書いている午前6時28分、ぼんやりとした頭で読み返してみると、「そんなことはどうでもいいんじゃないか」と思えてくる。わたしが書きたいのは、タイトルに書いてあるとおり、わたしが自殺をしなかった理由のようなものだ。たしかに、そこにたどり着くまでにはいくつもの人生の転機があって、自殺未遂についてしっかり書こうと思えば思うほど、よりさかのぼって自殺未遂につながりそうな点を拾い集めていくことになる。けれど、すべてをくわしく書けばそれで真実が見えてくるのか、という問題もある。それに、ほんとうに必要になったときに、あるいは、ほんとうに書きたくなったときに書きたいことを書くのがいちばん真摯な文章になる気もする。だから、きょうは恋愛ノベルゲームの話について掘り下げるのではなく、わたしの留年が決定するまでのお話をささっと書いてしまいたい。

「ささっと」というのは比喩でもなんでもない。わたしは恋愛ノベルゲームやライトノベルの世界にはまりこみ、そこの住人たちを溺愛し、現実のすべてをくだらないものとして見るようになった(どうもしっくりこないけれど、大きくはずれているわけでもないと思うので、このまま書きつづける)。深夜アニメもなるべくリアルタイムで見るようにしていた。遅刻癖は当然なおらなかった。また、電車が1分でも遅れていたら遅延証明書をもらい担任に提出していたため、わたしのクラスでは「遅延証明書は無効というルール」までできてしまった。誰もわたしになにも言ってこなかったと記憶しているけれど、きっと心のなかでは「ふざけんな」とわたしの愚行を罵っていたとことと思う。ここで謝ってもしかたがないので、謝罪の言葉はしかるべきときにとっておく。
いずれにせよ、そのような生活は続き、中学のころから不仲になっていた両親との会話の量もどんどんゼロに近づいていき、軽音部も半年でやめた。体育祭のようなもの(もはやなんのイベントだったか覚えていない)でもどうにも本気になれず、チームに迷惑をかけ、体育の時間のマラソンでは「とにかく歩かない」という目標を立てたものの、途中で歩いている人よりも遅くゴールしたことで、先生からはさげすみのまなざしを向けられたように感じた(先生たちがわたしに笑顔を向けているシーンは、わたしの記憶のなかでは皆無に等しい)。テストでは毎回赤点を連発し、2月か3月には留年が決定した。高校の景色よりも、秋葉原の景色のほうが身近だった。当然の結果だった。

そこで、留年するか、別の高校に編入するかという選択肢が、わたしの前には存在していた。先生が提示したものだったか、親が提示したものだったか、いまでは覚えていない。いずれにせよ、わたしは「編入をすれば2年にあがれる」「1年でも遅れを取りたくない」といった気持ちで、別の高校に編入することに決めた。いまから思えば、「留年生」というレッテルを恥じ、そこから逃げたかっただけのようにも見える。

わたしが編入した先は、通信制の高校だった。ひと月に数回学校に行き、授業を受けるだけ、そしてレポートを月にいくらか提出するだけで進級することができて、卒業もできた。月に数回、家から出ることが当時のわたしにとっては恐怖でしかなく、卒業に最低限必要なスクーリングと、レポート提出しか行わなかった。このときも、学校の景色よりも、やはりスクーリングのあとに向かう秋葉原の景色のほうが身近だった。
また、授業は寝ていても起こされないから、ずっと寝ていた。レポートは中学生でも解けるような内容だった。わたしは高校卒業の資格は手に入れたものの、学力として中卒と同等のありさまだった。

このあたりで、ようやく強迫性障害(Obsessive Compulsive Disorder、以下、OCD)の話が出てくる。はじめに異変を感じたのは、高校2年の4~6月ごろだったと思う。実家のトイレの電気のスイッチを汚く感じるようになったことと、洗濯は自分で自分のものだけで洗いたくなったこと、ふたつのターニングポイントがあるのだけれど、どちらが先だったかは覚えていない。次回はそのふたつの話から始めてみようと思う。きょうはここまで。

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